アルバイトにも障害年金は支給されるか

ケガや病気などが原因で働けなくなった人を支援するため、公的年金には障害年金を支給する制度が設けられています。ここでは厚生年金における障害厚生年金の概要について紹介するとともに、特に一般には企業の正社員等が加入するものと考えられている厚生年金について、アルバイト等の非正規労働者の扱いはどうなっているか、年金は受けられるのかといった点について解説しています。

ケガや病気で働けなくなった時の生活を支える

健康な体で毎日仕事に専念していたのが、ケガや病気がきっかけとなって働けなくなってしまう、こうした事態は起きて欲しくはありませんが、誰の身にも起こる可能性があります。このような場合に備え、民間の保険会社ではさまざまな保険商品を提供していますが、公的年金においても補償を行う制度があります。

これを障害年金といいます。障害年金はケガや病気がもとで障害の状態になり、自ら働いて生活費を得るのが困難になった人に対する公的な所得補償制度です。民間企業などに勤務する人が加入する厚生年金保険制度においては、障害厚生年金がこれに該当します。

その他、船員や公務員など特定の職業に就く人が加入する職域年金制度にも同様の給付があります。

障害厚生年金の受給要件

障害厚生年金は、厚生年金制度に加入中の人が障害の状態になった時に支給されます。具体的な支給要件は次の通りです。第1は、障害の原因となったケガや病気について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。

)が厚生年金の加入期間中であることです。第2は、障害の程度が法令に定めた基準に合致していることです。第3は、初診日の前日において、一定の保険料納付要件を満たしていることです。このうち、第1の要件についてはあらゆる保険制度の基本となるものなので特に問題はありません。

また、第2の要件については、障害の程度がどれくらい重く、どれくらい就労や日常生活に支障をきたすかという観点に基づいて国が定めた基準に適合するかどうかが問題となります。基準は1級から3級までの3等級に分かれており、3級→2級→1級の順に障害の程度が重くなり、年金額も高額になります。

最後の第3の要件についても、第1の要件と同様、保険料を負担しない人は給付を受けられないという保険制度の原則にのっとったものです。ただし厚生年金の場合は保険料が給与から天引きされるので、加入者個人において未納が発生することはありません。

そのため、この要件は厚生年金に加入する前(簡単に言えば就職する前)に国民年金の保険料を納めるべき期間があった者に対してもっぱら問われます。

アルバイトがケガをしたり病気になったら

ところで、障害厚生年金の支給要件のうち、初診日が厚生年金の加入中であることという第1の要件については「特に問題はありません」と先に述べましたが、特定のケースにあってはこれが問題になることがあります。すなわち、該当者がアルバイト就労をしている場合です。

一般に、厚生年金は企業の正社員等を加入対象とし、アルバイトは加入していません。となると、原則としてはたとえ就労期間中にケガや病気がもとで障害の状態になったとしても、障害厚生年金は受給できないということになります。

ただ、この原則には例外があります。というのも、厚生年金制度にはもともと正社員やアルバイトといった身分上の区別がなく、その事業所に常用されているかどうかだけが加入対象となるかならないかの基準になっているからです。

したがって、アルバイトであってもその事業所に常勤で雇われているのであれば、本人や使用者の意思に関わりなく厚生年金に加入することとなります。

そうなれば当然、障害厚生年金の受給要件をも満たすことになるわけです。ちなみにパートタイマーやアルバイト等が厚生年金の加入対象となるかどうかの具体的な基準は、「同じ事業所で同じような業務に従事する一般社員と比べて、1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数が4分の3以上あること」とされています。

厚生年金非加入者の場合

では、アルバイトとして働いてはいるが、たとえば夕方の2~3時間しか働かない、週の半分しか出勤しないといった具合に、労働時間や労働日数が少ない人はどうなるのかというと、結論から言えばたとえ障害の状態になったとしても障害厚生年金は支給されません。

なぜならそもそも厚生年金の加入対象とならないからです。ただ、そうかといって何のサポートもないわけではありません。厚生年金に加入しないアルバイトや自営業者、無職の人などは国民年金の加入対象となりますが、実は国民年金にも障害年金制度があるのです。

これを障害基礎年金といいます。障害基礎年金の支給要件は障害厚生年金とおおむね共通していますが、異なる点もいくつかあります。その1つは、加入期間外のケガや病気もカバーしていることです。具体的には、生まれつき障害のある人や子どもの頃のケガなどによって障害となった人に対しては、国民年金の加入開始年齢である20歳になると同時に障害の程度を認定し、年金を支給します。

また、加入終了年齢である60歳になった後、老齢年金を受給する前に障害になった場合も一定の条件を満たせば支給されます。

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国民年金保険料の納め忘れに注意

障害厚生年金と障害基礎年金の支給要件における相違点はあと2つあります。

その1つは、障害の程度を定めた等級が厚生年金の場合は1~3級の3等級であるのに対し、国民年金の場合は、1級及び2級の2等級であることです。

したがって、まったく同じ程度の障害であっても初診日時点の加入制度によっては年金が支給されたりされなかったりすることがあります。もう1つは、これは相違点というよりは注意点なのですが、保険料の納付要件についてです。

厚生年金の保険料は源泉徴収によって事業主が全加入者分をまとめて納めますが、国民年金の保険料は加入者個人が自主的に納付します。そのため、保険料の納め忘れ等によって納付要件を満たせなくなってしまうことのないよう、日頃から注意が必要です。

ちなみに具体的な納付要件は、20歳前に障害が発生していた場合を除いて(1)初診日の属する月の前々月までの公的年金の全加入期間の2/3以上、保険料が納付または免除されていること(2)初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がないこと、のいずれかを満たすこととなっています。

参考元(障害年金|白石社会保険労務士事務所)http://www.sharoshi-office.com/basic